マイルCS 回顧 [競馬]
5歳世代からはダートでこそ2頭のG1馬(サクセスブロッケン、エスポワールシチー)が出ていたが、芝では3歳時のリトルアマポーラがエリザベス女王杯を制して以来2年以上古馬G1戦で勝てなかった。古馬の牡牝混合G1を勝てない世代になるのでは思われていたが、エーシンフォワードが何とか一矢を報いた。
天候; 馬場;良
-------------------------------------------------------------------- エーシンフォワード 1:31.8R 前半3F 33.7 - 4F 45.3
ダノンヨーヨー クビ 上り4F 46.5 - 3F 35.1
ゴールスキー ハナ
☆ サプレザ ハナ
ライブコンサート 1 1/4
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馬券 チョー~惨敗!!
逃げたジョーカプチーノのラップは3ハロン33.7、1000m56.7とタイキシャトルが勝った1997年キョウエイマーチの33.5、56.5に次ぐハイペース。ジョーが引っ張る流れでバックストレッチでは縦長の隊列になったが、3角の坂の下りから後続も差を詰め4角では馬群がギュッとコンパクトになった。直線は横に広がり壮絶な叩き合いになり、内を巧みに突き残り200過ぎで最内で粘るスマイルジャックを交し先頭に躍り出たエーシンフォワードに外から急襲してきたゴールスキー、ダノンヨーヨー、サプレザの3頭がクビ差まで迫ったところがゴールであった。
時計は2005年ハットトリックのレースレコードを0.3更新すると同時に京都外回りマイルのコースレコードも更新した。前半から澱みのない流れで中盤も緩まず、マイラーとしての適性と底力が問われた一戦と言えるだろう。どちらかと言うといつものマイルCSと言うよりは府中の安田記念に近いレースだったように思うので、上位に来た馬はこの後順調に成長すれば来年の安田記念でも有力馬になりそうだ。ただ、レース自体が厳しかったので馬の消耗度も大で馬体に変調がないことを祈りたい。
前半=中盤=後半 1000m
2010 エーシンフォワード 良 1分31秒8 33.7=23.0=35.1 56.7
2009 カンパニー 良 1分33秒2 34.8=23.9=34.5 58.7
2008 ブルーメンブラット 良 1分32秒6 34.4=23.5=34.7 57.9
2007 ダイワメジャー 良 1分32秒7 34.4=23.6=34.7 58.0
2006 ダイワメジャー 良 1分32秒7 34.0=23.5=35.2 57.5
2005 ハットトリック 良 1分32秒1 34.2=22.9=35.0 57.1
1997 タイキシャトル 良 1分33秒3 33.2=23.3=36.8 56.5
外目の枠から好スタート切ったエーシンフォワードは前を行く馬群がバラけた所を上手くインに潜り込んで中団にポッカリ開いたポケットの位置。これで内ピッタリの最短コースをロスなく回れたことが勝因だと思う。直線も内を突きキッチリと最短距離を走りきった。2着以下を僅差で抑えることが出来たのはコース取りの差であった。今日はイワタの判断も含めて全てが上手く行き嵌った感じもするのでレコードのG1制覇を素直に評価できない面もあるし、安田記念のショウワモダンのように所謂“一発屋”の疑念も少しばかり残っているので香港に遠征して香港マイルでこれらの疑念を払拭してもらいたいものだ。
父はStorm Cat直仔のForest Wildcatで自身はダート6FのG3勝ちしかない中級のスプリンター。産駒もアベイドロンシャン賞G1を勝ったVarなどスプリンター色が強い。エーシンフォワードがマイルまでこなせたのは母系のCure the BluesやMorning Bobの影響が強いからだと思う。Storm Cat系なので早熟で距離は千四までと決め付けていたが、5歳でマイルのG1を勝たれると見立てを変えなければならなくなる。
Storm Cat系は日本でサンライズバッカス、ゴスホークケンに次いで3頭目のG1馬を輩出したことになる。一般にStorm Bird系と言われる種牡馬ラインからJohannesburugやCharismaticなど注目種牡馬が輸入されているので、芝、ダートを問わず走るクロフネのような活躍馬が出てきそうな予感がする。ちなみに、今年のBC Turf馬Dangerous MidgeもStorm Cat系である。
Storm Bird
→Storm Cat→Forest Wildcat →エーシンフォワード(マイルCS)
→Hennessy* →サンライズバッカス(フェブラリーS)
→Johannesburug*
→Bernstein →ゴスホークケン(朝日杯FS)
→Giant's Causeway→エイシンアポロン、スズカコーズウェイ
→Tale of Cat →Lion Heart →Dangerous Midge(BC Turf)
→Summer Squall→Charismatic*→ワンダーアキュート
* 本邦輸入
出遅れて後からの競馬を余儀なくされたダノンヨーヨーは後方2番手を追走。4角でも外を回さず馬場の中央を馬群に突っ込んでいき、右ムチでモタれるのを矯正しながら馬群を縫うように伸びてきた。スミヨンの騎乗技術はさすがで、出遅れても外を回さないコース取りで、しかも真直ぐ走れないこの馬をステッキを使って矯正しながらスムーズに直進させ、馬の力を存分に引出している。ヤネがスミヨンでなかったら、今日のレース展開ではこの馬の2着はなかったと思う。それにしても根幹距離のG1でダンスインザダーク産駒があわやのレースをするなんて予想外であった。やはりマイル4連勝の適性はダテではなかったようだ。この後は放牧に出すようなので、来年は安田記念を目標のローテーションになると思うが、できればドバイを目指してもらいたいものだ。スミヨン騎乗が条件になるが…。
ゴールスキーはバックストレッチではエーシンフォワードの直後の外にいたが、コーナーワークで外々に振られ4角もほぼ大外。直線はダノンヨーヨーと併せ馬の形で伸びてきたがスピードの持続力の差が最後に出た。マイル3連勝しオープンに入ったばかりの身で初めての重賞、それもG1でここまでやれるのは相当素質が高い。先々はこの馬が1番楽しめそうな気がする。一部にはネオユニヴァース産駒は3歳までで4歳以降は成長が止まってしまうなどと言っている輩もおるようだが、まだ2、3世代しか産駒が走っていないので少ないデータで結論付けているだけだ。血統的にもゴールドアリュールの半弟で一本筋が通っているので、まだまだ成長すると思う。
本命に推したキンシャサノキセキは外枠で外々を回され道中はかかり気味。このハイペースでもかかるようではマイルは適性がないということだ。千二~千四のスプリント戦に集中すべきだろう。
ガッカリしたのはトゥザグローリーだ。悪くとも中団辺りにつけると見ていたが、何と向う正面では後方2番手。4角も大外を回して直線の伸び脚もイマイチで0.5差の7着。通ったコースを考えるとそれほど悲観する内容ではないとの見方もあるが、長目の距離を使ってきたためマイルのスピードに面食らったようで、忙しい競馬は向かないのかもしれない。
先行馬は総崩れでしたね。がくっ。
by ドリームCB750 (2010-11-24 22:16)
個人的にネオユニヴァースですが好不調の波が大きい種牡馬だと思ってます
一度スランプに入るとなかなか脱出できず自分の適正があうポイントでしか走れなくなる馬が多いんじゃないかと
なので今週のヴィクトワールピサの走りは馬券抜きにして注目してます
by やまちゃん (2010-11-25 03:02)
>ドリームCB750 さん
マイルCS史上2番目のハイペースですから先行馬にとっては厳しかったレースでした。それにマイルCSは行った行ったの2頭が残ったことはないレースで、今年もそのデータ通りでした。
>やまちゃん さん
いまのとこ、古馬になっているアンライバルド、ロジユニヴァースのイメージが強くなるのは已むを得ませんが、配合される母系次第で上記2頭とはタイプの異なる馬が出てくると思います。いづれにしてもサンデー系なかでは最もクラシックディスタンスに強い種牡馬になるような気がします。
by miharukoma (2010-11-27 00:02)